TAX COLUMN 税コラム

令和6年度税制改正<抜粋> 法人税・消費税

法人税

2024.04.15

令和6年度税制改正のうち、中小企業に影響のあるものを抜粋して記載しています。

交際費等の損金不算入制度の見直し

内容

・交際費の損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準を、現行の5,000円以下から1万円以下に引き上げる。

・接待飲食費の50%損金算入特例および中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を3年延長する。

・令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用される。

ポイント

令和6年4月1日以後に支出する飲食費が対象になる。

3月決算法人以外は同一事業年度年度内で5,000円基準と10,000円基準の2つの基準が併存することになる。

賃上げ促進税制の見直し(中小企業向け)

内容

・中小企業向けの賃上げ促進税制は、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額に対して一定割合以上(1.5%以上又は2.5%以上)増加するというシンプルな適用要件がそのまま維持されている。

・中小企業向け賃上げ促進税制については、適用年度にて利用できなかった金額を翌事業年度以後へ繰り越すことが可能となった。

・繰越控除可能期間は最長で5年となる。

ポイント

従来は大企業と中小企業という分類であったのが、「中堅企業」というカテゴリーが追加された。

また、欠損事業年度では賃上げ促進税制の恩恵を受けられなかったが、繰越税額控除が可能となることにより、その恩恵を翌事業年度以後にも受けられるようになった。

中小企業倒産防止共済の損金算入制限

内容

・中小企業倒産防止共済を解約した場合は、その解約金は益金算入となる。改正前までは、解約事業年度に再加入して1年分を前納することで損金算入をすることができた。

・令和6年10月1日以後に解約した共済契約については、解約の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する共済掛金は、損金算入とすることができない

ポイント

中小企業倒産防止共済の解約後2年以内の再契約でも、契約自体は可能である。ただし、損金算入が出来ない点に注意する。

高額特定資産を取得した場合等の納税義務判定等の見直し

内容

・消費税の課税事業者が高額特定資産を取得し、仕入税額控除の適用を受けた場合には、その後2年間は消費税の原則課税が強制される。

・高額特定資産は、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいう。

・令和6年4月1日以後に行われる取引からは、金または白金の地金等の額の合計額が200万円以上である場合を加える。

ポイント

従来の高額特定資産の一の取引単位は1,000万円を線引きとしていたが、金地金等については、一の取引単位の金額の調整が容易であり特例の適用を回避することが可能であることを踏まえて、その合計額が200万円以上である場合を対象に追加した。

免税購入された物品に係る仕入税額控除の制限

内容

・外国人旅行者向け消費税免税制度により免税購入された物品と知りながら行った課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用を認めない。

・令和6年4月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて適用する。

ポイント

実務上は、「免税購入された物品と知りながら」がどのような状態かその判断基準を確認する必要がある。

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